真の知的財産立国を目指して
丸島儀一
この数年間における「知的財産立国」へ向けた取り組みを通じて,制度整備が進み,社会的にも知的財産を重視する風潮が強まってきた。ただ,「知的創造サイクル」から見ると「活用」に重心が置かれ,研究開発など「形成」への対策が不足しているように思う。技術の創造・革新こそが知的財産形成の根源であり,知的創造サイクルの起点である。国は科学技術振興の重点4分野として,「ライフサイエンス」,「情報通信」,「環境」,「ナノテクノロジー・材料」を挙げて24兆円を投入している。しかしながら,実務上は各分野あるいは各省庁によって縦割り的に執行されており,横断的に全体を見渡しながら日本としての研究開発を運営・監督する姿勢が必要である。国際標準化活動も含め今後の対応を強く期待したい領域である。 日本国内の市場規模は限られている。主な戦いの場はやはり海外市場である。国内企業間で勝ち負けを競っていてはいけない理由はここにある。1980年代以降,米国が採ったプロパテント政策は保護主義的な性格を持っていたが,それは自国内に巨大な市場があったからである。輸出中心の日本が同様の政策を採っても,米国のような成果を期待することは難しい。それゆえに,日本の知的財産戦略は積極的に世界に目を向けなくてはならない。知的財産に関する国内環境が整備された現在が,まさにその時である。真の知的財産立国を実現する上で,2005年は大切な年になると思う。 国際的な市場の中で日本が競争力を発揮するために何が必要か ― その答が知的財産であり,技術である。そして,国家戦略として知的財産立国を推進する意義はここに存在すると思う。
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