なぜ特許が必要か?
伊藤 哲雄
金属的なオルゴールの音を、和紙を通すことにより柔らかな音に変
化させるという技術を
考え付いたのは、戦国時代から和紙の製法が伝わる山梨県の「山十製紙」社長の笠井伸二さん。
ミツマタを主原料にした伝統的な和紙にオルゴールの音を優しく安らぎのある音に変えるという新しい発想を与えた。一見ありそうなこの技術、先行技術など特許情報調査によって、他には無い特徴を持っていることが明らかになり、特許申請まで辿り着いた。
実は、このアイデア自体は昔からあり、ヤマハのスピーカーの紙に使用されている。スピーカーの紙に最も良いのがミツマタの繊維であることを聞き、今回の和紙オルゴールを思いついた。和紙の中にオルゴールを入れることで、ミツマタから優しい音が伝わる。笠井さんは、この技術で特許を取得することで、和紙の魅力を伝えるとともに和紙から音が出る楽しさを伝えていきたいと考えている。また、現在は地元のお店でも和紙オルゴールの販売が始まっている。
特許制度には、『優れた発明を世に公開する代わりに、一定期間の排他的独占権を与える』という役割がある。山十製紙のように業界のパイオニアとして新しい技術開発に取り組む企業に、更に次の技術開発を狙ってもらう仕組み、すなわち「知的創造サイクル」が特許制度の大切な役割の一つと言える。
現在、和紙オルゴールの技術移転契約の交渉も進行中。和紙オルゴールの技術が活かされるまでもう一歩のところまできている。全国にいる特許情報アドバイザーは、特許情報の利用についての基礎知識からパテントマップの作成方法など、高度な活用方法まで様々なアドバイスを行っている。
次回は、特許情報の基礎、「特許を出願するには?その1」を案内する予定である。
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